カテゴリー: 矢澤宏太

左手小指と右膝の負傷で離脱していた日本ハムのドラフト1位矢沢宏太投手（22）が28日、千葉・鎌ケ谷の2軍施設で、負傷後初めてブルペンでの投球練習を行った。捕手を立たせて19球、すべてストレート。あくまで試運転も「立ち投げというか傾斜を使ったキャッチボールみたいな感じ。でも、いい感じで投げられました」と振り返った。

試合後、矢沢は「（上川畑）大悟さんも声をかけていたらしいんですけど、聞こえなかった。行くしかないと思って行って、最後の最後に声を出した感じ。意思が通らなかった。声を出したので、僕が何が何でも捕るべきフライだったと思います」と悔しさをにじませた。上川畑も「最後声がかかったので（引いた）。連携不足です」と下を向いた。

 日本ハムの二刀流ルーキー・矢沢宏太投手が、２軍で公式戦初登板した。１イニングを１安打２失点１奪三振。２四球と制球面に課題を残した。１９球で最速は１４４キロだった。   ４回から登板し、先頭から２者連続四球を与えた。８番・古市は低めへのスライダーで空振り三振、９番・平沼も一ゴロに打ち取るも、２死一、三塁から長谷川に左中間への２点適時三塁打を浴びた。

矢沢は試合後、プロ１号の記念球を「お姉ちゃんにあげたい。１週間前に誕生日だったのを忘れていた」と明かした。２学年上の姉・咲来さん（２５）は４月２２日が誕生日。だが、うっかり忘れてしまっていたのだ。  

初アーチが飛び出す前日、始球式を務めた女優の吉高由里子について、姉から「かわいかった？」とＬＩＮＥが来た。「かわいかった」と返信すると、立て続けに「私アラサーになったんですけど…。プレゼント、待ってます」とさみしそうにメッセージが送られてきた。

 周りに流されない心の強さが、二刀流ルーキーを大きく成長させた。昨年秋に日体大野球部を引退後、リフレッシュ期間を満喫する仲間たちを横目に、矢沢はトレーニングに没頭。同学年で同部の主務を担い、現在はジャイアンツアカデミーのコーチを務める北内真太さん（22）は、「引退した次の日から、矢沢は毎日練習していました。練習に対しての意識は、同級生の中で一番だった。僕も誘ってもらって、いろいろ学ばせてもらってありがたかった」と当時を振り返る。  

やると決めたことは必ず貫く男だった。「トレーニングしていた誰かが一緒に帰ろうって矢沢を誘っても、絶対に自分のメニューを終わらせるまでは帰らなかった。自分を持っているので、酒の席でも、相手が一緒に飲もうって感じだったら最初だけ合わせますけど、それ以外は本当に飲まない。流されない。すごいなと思う」と尊敬のまなざしを向けていた。