̄│石│山│本│願│寺│ ̄

WS000186

1: 名無しさん 24/05/30(木) 20:36:04 ID:r04p
天正四五二年 皐月丗日

 此れぞ九つに渡る連勝を重ねた結城軍の底力か。嘗て覇軍との争いでは一度たりとも手傷を負わなかったことすらある和尚に、遂に制武失敗の烙印が押される。

 長き合戦の果に和平を結んだ一行は、然し直ぐに先を向いていた。見事な説法の復活、其れに伴う信徒の歓び。誰が和尚を責めようか。

 されど、勝てはしなかった。故に、勝てばよいのだ。結城に対する最終戦、先鋒を『同心』高橋と置いた一行は必勝を掲げ迎え撃つ。

 然し其の高橋が変わらず寝惚けている。第一戦線、『傾奇者』中村による砲撃を受け、漸く目覚める始末。

 だが其れからの高橋は第六戦線迄を歯を食い縛りながら独り護り抜く。戦場の主導権こそ奪われるも、味方の反撃を待つばかりであった。

 一方の結城軍先鋒は嘗て和尚と同じく第九戦線を担った勇士、西野。此れに対し『三散華』山田が急襲を掛けると、『孝行息子』長岡が一閃。


 第七戦線は『秀徒』木澤、第八戦線は『毬藻男』田口が見事な守護を披露し、第九戦線に再び和尚が舞い戻る。

 昨夜は勝利を失った。和尚の責である。田口が戻ってきた。和尚の席は安泰ではない。

 故に挑む。二度と同じ失態は繰り返さぬ。必ずや今宵こそ。石山本願寺、勝利まで残るは首三つである。

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 ̄│石│山│本│願│寺│ ̄

WS000063

1: 名無しさん 24/05/17(金) 21:19:46 ID:vwcf
天正四五二年 皐月拾漆日

 世の争いが始まるどころか、覇と袂を分かつ迄もなかった頃。其処まで遡ったとて無かったのだ。
 松本騎馬隊の成し得た、初陣にて手傷無く、戯れもなく、さりとて十を数える三振供養とは。
 世の争いが始まるどころか、覇と袂を分かつ迄もなかった頃。其処まで遡ったとて彼より若き侍はいなかった。
 二百の号砲成し得た『水軍指揮』村上、またしても伝説を創る。奇しくも騎馬隊が陣頭指揮、松本と其の齢は同じであった。
 若き双頭が立ち上がりし頃、番頭を狙う『貢献者』吉村は闘志に燃えていた。かの松本とは歩み、仕えた将も似る。
 己は己、彼奴は彼奴。其の眼は真直ぐ豊臣軍へと向けられていた。多くの誉を勝ち取り全国統一へひた走るかの虎を、止めねば。

 対するは豊臣が番頭、『似非薙刀使い』青柳である。此の者の髷を刎ねてしまえ。一気呵成、一行が襲いかかると、第一戦線に先ず一房切り離す。
 更には第三戦線、『水軍指揮』が全国に轟く十の号砲にて青柳を粉砕。最早髪一つ残らぬ無惨な姿であった。
 一方の『貢献者』吉村は松本に続くが如く見事な守護を披露。第五戦線迄僅かな傷すら赦さず封じ込める。

 然し第六戦線。敵軍の見事な囮作戦阻止に我を失った西川が第一陣にて突如自爆。
 遥か彼方まで届く其の輝きに吉村も、『野生児』丸山も、『孝行息子』長岡も、
『暴れん坊』"押忍成"も、『十刃』"江洲破打"も、将高津も、皆一様に眼を焼かれるのみ。
 此の間隙に乗じ、豊臣軍は本陣を突破。戦況は僅かに豊臣に傾きつつあった。

 第九戦線、『毬藻男』田口が戻ってきたにも関わらず、城門前にて立ち塞がるは和尚の姿であった。
 世の争いを制覇した三年前――和尚は其の地位を"幕賀府"に奪われた。
 故に挑む。故に渡さぬ。一度掴んだ此の場所を、二度と渡しはしまい。
 和尚の右手からは執念と、勝利へ繋がる光が差し込んでいる。石山本願寺、勝利まで残るは首三つである。

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 ̄│石│山│本│願│寺│ ̄

WS000693
1: 名無しさん 24/05/08(水) 21:23:05 ID:ILOb
天正四五二年 皐月捌日

『老師』石川の誉ならず、本願寺一行の勝利すら消し飛ばされた先刻の屈辱。『砲手』筒香の復活たる号砲に消し飛ばされた『十刃』"江洲破打"は散り散りになり、消えた。
 本来第九戦線の重責を担うはずだった『毬藻男』田口復活の報も流れるが、然し男は現れず。最早是迄と流した涙が雨になるほど、彼の地には希望すら無いように思われた。
 だが、だがである。次なる合戦に備え北条軍は先鋒を石田と報せた。此れに本願寺一行、炎が如く燃え上がる。
 此の男、煮えきらぬ態度を見せるも本願寺の教えを拒否し、北条に舞戻ったのである。許すわけには行かない。理不尽な迄の怒りが『疾馬』塩見をも蘇らせた。

 第一戦線、燃え上がる怒りが石田へ襲いかかる。次々に陣へと襲いかかり、あれよあれよと本陣を三度陥れる。
 更には第六戦線、虎の威を借り逃げ出した石田に一行は逃げるなと一喝、此れには父の叱咤を思い出した若侍度会も恐怖の余り刀が手につかず虎を見殺し。
 第八戦線に至っては嘗ての黒田軍守護者を担った『城門女王』森を『柱の男』"参多那"が爆散。本願寺一行は此れにて優勢を握るに至った。

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